「Adobe 認定プロフェッショナルIllustrator」を受験しよう!勉強法・難易度やサーティファイとの違いも解説!
- Adobe 認定プロフェッショナルとは
- Adobe認定プロフェッショナルIllustratorの試験について
- Adobe認定プロフェッショナルIllustratorの難易度はどれくらい?
- 勉強方法・テキストについて
- 試験当日の注意点
- 「アドビ認定プロフェッショナル 意味ない」は本当か?
Adobe 認定プロフェッショナルとは
Adobe認定アソシエイト(ACA)とは、Adobe社が認定する国際資格です。
以前まではAdobe認定アソシエイトと呼ばれていましたが、現在は「Adobe認定プロフェッショナル(ACP)」と名称が変更になっています。
現在、日本においては、以下の3つの試験が実施されています。
- Photoshop:Graphic Design & Illustrations Using Adobe Illustrator CC
- Illustrator:Visual Design using Adobe Photoshop CC
- Premiere Pro:Video Design using Adobe Premiere Pro CC
名称が長いので、以下、ACP Photoshop、ACP Illustrator、ACP Premiere Pro と呼びます
Adobe認定プロフェッショナルIllustratorの試験について
「Adobe認定プロフェッショナルIllustratorの試験」の概要
- 出題形式:選択式問題(択一、複数選択)、並べ替え問題、操作問題
- 問題数:30問前後
- 試験時間:50分
- 受験料:10,780円(一般価格)
- 8,580円(学生割引価格)
申し込みの注意点
受験会場について
関東、関西などの大都市圏を除き、受験会場はかなり少ないです。東京、千葉、埼玉、神奈川はたくさんありますが、日本海側は新潟くらいしかありません。東北は仙台、弘前にしかありません。
オンラインで在宅受験ができるサーティファイと違い、受験するまでのハードルがやや高い印象です。
職業訓練生などで、在籍の方は旅費もかからず受験できますので、ぜひ受験を検討しましょう。
受験するバージョンについて
申し込みに際して、受験のバージョンを指定します。
- Illustrator CC2021
- Illustrator CC2022
- Illustrator CC2023
のように直近の3バージョンを選ぶことができるので、どのバージョンで受けるかよく確認しましょう。特に大きな差はないですが、毎年少しずつ新しいツールが導入されているので、普段学習しているバージョンとは近いほうがいいです。
サーティポートのアカウントの取得
これがわかりにくいのですが、オデッセイコミュニケーションズはACPの日本の運営を任されているだけであって、資格制度自体はサーティポートという企業が管理しています。
受験システムのログイン、受験後の合格証の確認にもサーティポートのアカウントが必要です。
受験日当日まで取得していなくても、何も連絡もないので、受験の申し込みをしたら必ずアカウント登録をしましょう!
私は、当日に受験会場で取得してバタバタしました・・・。
Adobe認定プロフェッショナルIllustratorの難易度はどれくらい?
Adobe Illustratorを用いた資格試験はサーティファイが実施する「サーティファイ クリエイター能力認定試験 Illustrator」が有名ですが、こちらに比べると易しいです。
- サーティファイ クリエイター能力認定試験
- 【第一部:知識問題】15問程度:CMYKやRGBカラーモードや、解像度、PNGやJPEGなどのファイル形式の違いなどの問題が出題されます。
- 【第一部:実技問題】5問程度:実際にIllustratorを操作して答える問題です。
- 【第二部】チラシや、Webサイトのデザインを依頼されたという想定で、手順にしたがって制作していきます。手順は大体10~13手順くらいあります。
- ACP Illustrator:一問一答もしくは、一問一実技が30問程度続く形です。
- 【選択式問題】ツールについての質問が多く、即答できる問題が多いです。ACP独自の分野として、「デザインプロジェクト」の分野があり、著作権(特にクリエイティブ・コモンズライセンス)やモデルリリース、プロジェクトマネジメントなどの出題があります。
- 【実技問題】10題程度操作をする問題が出題されます。ガイドを引いて上書き保存するだけの問題から、ブレンドツール、うねりツールなどツールを用いて編集ができるかを問われます
選択問題、実技問題ともに「広く浅く」出題されます。
たまに知らないツールについて問題が出題されることがありますが、一問一実技なので、わからなくても次に進めます。
そのため、サーティファイの試験に比べて、序盤でつまづいて大幅に点数を落とす事態にはなりにくいです。
ただし、問題数が30問近くあり、わからない問題を考え込んでしまうと、最後の問題まで終わらなくなる恐れがあります。
勉強方法・テキストについて
テキストについて
ACPの日本の運営会社であるオデッセイコミュニケーションズから試験対策テキストが発売されています.
→アオテンストア
- 「ACP アドビ認定プロフェッショナル対応 Illustrator CC 試験対策」
- 「アドビ認定プロフェッショナル llustrator WEB模擬テスト&演習問題]
1.は本屋さんで売っているテキストです。
2)はオデッセイコミュニケーションズのストア(アオテンストア)で購入後メールでID、パスワード、リンクが送られてくるので、そのリンクより教材をダウンロードします。
スキルチェックというアオテンのwebサイトで受ける模擬テスト(選択問題対策)とIllustratorファイル(Aiファイル:実技対策)がダウンロードできます。
1)にも問題演習は各章ごとについているのですが、数が少なめなので、2)を購入して演習に取り組むのがおすすめです。
1)、2)ともに、解答解説はPDFでダウンロードですが、勉強しづらいので、印刷しておくと勉強しやすいです。
レベル別 おすすめ勉強方法
【A】実務や学校でllustratorを使っている人
10~20時間程度の学習時間を確保しましょう。
まずは、「ACP アドビ認定プロフェッショナル対応 Illustrator CC 試験対策」をざっと流し読みします。知っている部分は読み飛ばしで問題ないでしょう。自信がないツールだけ操作すれば大丈夫です。
普段Illustratorを使っていても意外と知らないツールや便利機能があると思います。ほとんど知っていると思いますが、たまに知らないツールが出てくると、「今度使ってみよう」とモチベーションが上がると思います。
あとは、2)の「アドビ認定プロフェッショナル llustrator WEB模擬テスト&演習問題」を解いてみましょう。Web模擬テストは選択問題対策、演習問題は実技対策になります。
ほとんどできるようであれば、問題なし。間違えた問題だけ2-3回繰り返して完了です。
逆に正答率が半分以下であれば、プラン【B】をオススメします。
【B】Illustrator の使用経験はあるけど、自信がない人
30~40時間程度の学習時間を確保しましょう。
同じく「ACP アドビ認定プロフェッショナル対応 Illustrator CC 試験対策」を通読しますが、操作しながら一つ一つのツールを確認・習得していきましょう。操作をすることで理解、記憶が定着するので、手を動かして習得していきましょう。
各章ごとに演習問題がついているので、しっかりと解きながら進めましょう。もちろん間違えた問題は×印をつけて、◯がつくまで繰り返します。
一通り通読が終わって章末問題まで終わったら、「アドビ認定プロフェッショナル llustrator WEB模擬テスト&演習問題」を解いてみましょう。
この教材のよいところは、解説に1−2分程度の操作動画がついていることです。グラデーションの作り方やブレンドの拡張、シンボルやアクションなど少し混み入った手順はやはり動画がわかりやすいです。
【C】Illustratorを触ったことがない人
Illustratorが初めての人は、100時間程度の学習時間が必要と思います。
Photoshopを使っていた人や、PCでお絵描きをしていた人は、レイヤーやカラーの知識があるので、多少学習が早いと思いますが、多機能なソフトなので、それなりの覚悟と勉強時間は必要です。
最初の一歩として何をやるかですが、巷で売っている、「Illutrator早ワザ!」とか、「誰でもセンスよく!Illustrator」みたいな本をいきなり買っても初心者の人は理解できないと思います。これらの本は一通り使い方がわかっている人向けの本で、試験に合格した後に読むと、「あぁなるほど!」と思うことが多いと思います。
特にペンツールやパスの操作などは本だけでは理解しづらいと思うので、オンラインでもいいので、講座を受けることをおすすめします。受講後に復習としてこの試験を利用すると知識や技術が定着し、効果が高まると思います。
受講後にプラン【B】をこなせば合格できると思います。
筆者の場合
職業訓練校でIllustratorの授業を50~60時間ほど受けました。その後プラン【B】をこなし、問題なく合格できました。
試験当日の注意点
持ち物
- 試験当日には身分証明書が必要です(マイナンバーカード、免許証)
- 試験システムのログインのために、サーティポートのID、パスワードが必要です。
- スマートフォンや腕時計など電子機器類は持ち込み禁止です
身分証明書を忘れると受験できません。忘れないようにしましょう。
サーティポートのID、パスワードは控えていきましょう。
時計類は外すことを求められる場合があります。試験時間は試験システムに常時表示されているので、試験時間を自分で測る必要はありません。
試験開始前に試験受験にあたっての説明が書かれている文書が配られます。試験中も卓上に置いておくことが認められます。
試験中の注意点
試験前の操作説明
操作の説明をするチュートリアルが選択問題、実技問題の前にそれぞれあります。このチュートリアルの時間は試験時間に含まれません。
- 試験パネルの出しかた、しまい方
- 入力する文字列のコピー機能
- 問題文のリセット機能
- 「後で見直す」機能
など重要な機能の説明があります。しっかり確認しましょう。
選択問題と実技問題を合わせて50分
選択問題が終わると選択問題を終了した上で、実技問題に移ります。
実技問題に移ったあとは、選択問題にもどることができません。
選択問題で、飛ばして後に回した問題は、「選択問題を終了する前」に必ず解答しましょう。
時間配分にも注意。選択問題は10~20分程度で済ませて、実技に時間を割きましょう。
試験終了後
時間終了後は試験監督の指示に従いましょう。
結果はすぐに表示されます。1000点満点で700点以上で合格です。
合格すると、登録したメールアドレスに、Adobeからバッヂが届きます。
このバッヂはLinkedInなどのビジネスSNSにもシェアすることができ、あなたのデザインスキルを証明するシンボルになります。
「アドビ認定プロフェッショナル 意味ない」は本当か?
「アドビ認定プロフェッショナル」とインターネットで検索すると、2つ目のキーワードで「意味ない」と出てきます。
これは本当でしょうか?
資格だけで就職できるほどデザイナーは甘くない
デザイナーの就職にはポートフォリオ(作品集)が必須です。ポートフォリオなしで、資格だけをアピールしても評価はされにくいでしょう。さまざまな作品を作った実績を見て採用されるからです。
これが「意味ない」と言われる理由でしょう。
せっかく頑張って勉強したのに、意味ないのであれば、受験するのやめようかな・・・と思うかもしれません。
でも、ちょっと待ってください
しかし、資格を取るまでの勉強には「大いに意味がある」
ACPは広く浅くとはいえ、さまざまなツールの勉強になります。勉強することで、イラストレーターのツールを適切に、早く使えるようになります。
私自身も職業訓練校で座学の講義を受けただけでは、「グラデーションがうまくかからない・・・」「ブレンドってどうやるんだっけ?拡張って?」
というような状況でしたが、復習を兼ねてしっかりACPを勉強したことで、明らかにレベルアップしたと思います。その後のサーティファイの試験も無理なくパスすることができました。
「資格をとっただけで、就職できる資格」は実はほとんどありません。医師や弁護士でも資格をとっただけで仕事をしているわけではなく、その後の厳しい研修を経て第一線で仕事をしています。
ITエンジニア関連の資格でも取得してもその後の実務経験がものを言います。
そう考えると、何もACPだけが取得して意味がない資格というわけではありません。
大事なのは、資格の合格証ではなく、資格のためにどのようなスキルを身につけて、そのスキルを今後どう活かすかだと思います。
前向きに頑張りましょう!!