適正露出の写真を撮る・後編(EV値とカメラの設定)
EV値(露出量)と、絞り・シャッタースピード・ISO感度の関係
前回、適正露出の写真を撮る・前編では、適正露出とはどのような状態の写真かということと、露出を決定する3要素(絞り、シャッタースピード、ISO感度)について説明しました。
適正露出とは、明るさや暗さが、ちょうど良いと感じる写真であり、露出を決定するにはカメラの絞り、シャッタースピード、ISO感度を設定するということでしたね。
今回は、その露出の量(EV値)を、どうやって決めていくかについて説明します。
EV値とは
EV(Exposure Value)とは明るさを表す指標で、その値をEV値といいます。
そのEV値の基準とは、[EV0]が、ISO感度:100で、絞り:F1.0で、シャッタースピード:1秒で適正露出になる被写体の明るさを指します。
フィルムを使ったことがある方は、フィルムの箱の裏にこんなEV値の表記があるのを見たことがあるでしょう。
- EV1:日没後
- EV7:体育館
- EV9:明るい部屋
- EV11:雨曇り
- EV12:曇り
- EV13:薄日
- EV14:晴れ
- EV15:快晴
- EV16:真夏のビーチ
例えば晴れの日(順光)は、EV14の明るさがあるということを表しています。上の図表で、絞りやシャッタースピードの増減でEV値がそれぞれ増減しているのが分かると思いますが、それぞれの組み合わせでEV値が1段ずつ変わっていきます。
図表では曇りの明るさに相当するEV12の欄にイエロー色を付けていますが、曇りの日にISO100の感度で撮影する場合は、EV12になる絞り値とシャッタースピードの組み合わせならば、どれも同じ明るさの適正露出になるということです。
つまり、この図表で見れば、【絞り値:F2、シャッタースピード:1/1000】と、【絞り値:F32、シャッタースピード:1/4】で撮影した写真は、どちらも同じ明るさになるということを表しています。
ISO感度とEV値の関係
上のEV値の基準図表は、ISO100での値ですが、ではISO感度を変えた場合はどうなるでしょうか。
この表にあるように、ISO感度が2倍になるとEV値は+1されます。これをEV値が一段上がると言います。
例えばISO400の感度の場合は、この表を見ると2(+2)になっているので、曇りの時のEV値[12]に2を足して、基準図表のEV値が[14]のところを見ます。
そうすると、ISO100(EV値12)では、【絞り値F5.6、シャッタースピード1/125】だったのが、ISO400(EV値12+2=14)では、【絞り値F5.6、シャッタースピード1/500】になるのが分かります。
つまり絞り値を固定にした場合、ISO感度を2段上げる(+2する)と、シャッタースピードをそれに伴って2段上げると、ISO感度を変えても同じ明るさで写ります。シャッタースピードを固定にした場合も同様です。
EV値とカメラの設定
普段、スマホやデジタルカメラで写真撮影する時は、ほぼオート露出で撮っているでしょうからEV値を意識しないで撮っていると存じます。
主要な被写体だけにピントが合っていて、あとはボカしたいという時に絞り優先モードでレンズを開放にして(F値を一番小さくして)撮った時に、シャッタースピードがどうしてそのスピードになるか、EV値と絞り・シャッタースピード・ISO感度の関係が分かると、理解できると思います。
何度も繰り返しますが、適正露出の写真とは、明るさや暗さが、ちょうど良いと感じる写真でしたね。EV値を理解すると、ちょうど良いと感じる適正露出の基準がどうなっているかが分かって、より自分が表現したい明るさについて判断できるようになると思います。興味があれば、カメラをマニュアル・モードにして、絞り・シャッタースピード・ISO感度の組み合わせを色々と試してみて下さい。
カメラの撮影モードについては、こちらの記事、デジタルカメラの撮影モードは何を選べばいい?もぜひ参考にして撮影を楽しんで下さいね。